―インドから日本へ、神さまが旅をしたお話―
日本の福の神といえば、「大黒天(だいこくてん)」。ふっくらした笑顔に大きな袋と打ち出の小づち、米俵の上に立っているあの姿は、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
でも実はこの大黒天、もともとはインドの神さま「シヴァ神」と深いつながりがあるんです!
なお、ヒンドゥー教の神さま「シヴァ」については、以下の記事で詳しくお話ししています。
大黒天のルーツはインドの「マハーカーラ」
大黒天の名前の元になったのが、シヴァの一つの姿「マハーカーラ(Mahākāla)」という神さまです。
サンスクリット語で「偉大な暗黒」や「大いなる時間(終末)」という意味があり、時間の流れすら超える存在とされていました。
このマハーカーラは、破壊と再生をつかさどるシヴァ神の怒れる側面をあらわしていて、仏教に取り入れられる過程で「大黒天」という名前になり、日本に伝わってきたのです。
インドから中国、そして日本へ
マハーカーラ信仰は、インドからチベットや中国へと伝わり、密教の中で大切な守護神とされるようになりました。そして日本の密教(特に真言宗や天台宗)にも取り入れられ、しだいに福の神としてのイメージが加わっていったのです。
日本に来てからは、インドでの恐ろしい神のイメージがやわらぎ、「商売繁盛・五穀豊穣の神」として親しまれるようになりました。
変わっていったけど、根っこは同じ
大黒天とシヴァ(マハーカーラ)は、見た目やイメージこそずいぶん違いますが、根っこには「力強さ」「守り」「変化を乗り越える力」という共通の意味が込められています。
特に、シヴァが「壊して、また生み出す」神であることを考えると、古いものを終わらせ、新しい豊かさをもたらす大黒天とつながっているのも納得ですね。
まとめ
- 大黒天のルーツはシヴァ神の一側面「マハーカーラ」
- 仏教を通じて、日本に伝わり“福の神”へと変化
- 見た目は違っても、変化・再生・守りといった本質は共通
神さまの姿も、時代や文化によって変わっていく。
でも、その中に流れている「人々の願い」や「信仰の心」は、ずっとつながっているのかもしれませんね。
シヴァについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。