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ブラフマーってどんな神? 四つの顔に秘められた神話の物語

目次

序章:ブラフマーってどんな神さま?

広がる宇宙の中、神秘的な蓮の花がふわりと浮かび上がります。その中心から現れたのは、四つの顔を持つ不思議な存在――それがヒンドゥー教の創造の神、ブラフマーです。

ブラフマーにはいくつかの呼び名があります。たとえば「スヴァヤンブー(自分で生まれた者)」、「チャトゥラーナナ(四つの顔を持つ者)」、「バーギーシャ(言葉の王)」など。それぞれの名前には、古代インドの宇宙観や神秘的な意味が込められています。


ブラフマーの姿と意味

ブラフマーは、四つの顔と四本の腕を持った姿でよく描かれます。それぞれの顔は東西南北を見つめ、手には古代インドの聖典「ヴェーダ」を持っています。つまり、彼はすべてを見通し、あらゆる知識を持ち、世界を創る力を備えているというわけです。

また、ブラフマーは赤やピンク色の蓮の花に座り、白鳥や鶏に乗っている姿でも知られています。これは、純粋さや知恵、そして物質的な世界のしがらみから自由であることを表しています。


スヴァヤンブー(自分で生まれた神さま)

「スヴァヤンブー」は、「自分で生まれた」という意味の名前です。ブラフマーは、他の誰からも生み出されたわけではなく、自分自身で存在し、そこから宇宙を創り出したとされています。つまり、彼はすべての始まりの神、自己創造の象徴なんですね。


チャトゥラーナナ(四つの顔の意味)

「チャトゥラーナナ」は「四つの顔を持つ者」という意味。この顔たちは、創造・守護・破壊・啓示という宇宙の4つの側面を象徴していると言われています。つまり、ブラフマーは世界のすべての出来事や運命に関わる存在だと考えられているのです。


バーギーシャ(言葉と音の神さま)

「バーギーシャ」という名前は「言葉の王」という意味で、ブラフマーが言葉や音楽をつかさどる神さまであることを示しています。彼の口からは4つのヴェーダが生まれ、それが人間に道徳や宇宙の法則を伝えてきたとされています。だから、ブラフマーは知識と学びの象徴でもあるんです。


このように、ブラフマーは単なる神さまではなく、宇宙の知恵と創造の源。その姿や物語には、インドの深い精神世界と壮大な宇宙観が詰まっているのです。

創造の神ブラフマーとヴェーダって?

ブラフマーという神さまは、インドの古い神話や宗教の中で「創造の神」として登場します。たくさんの神々の中でも、世界をつくり出す特別な存在として描かれているんです。

そして、そのブラフマーと深い関わりがあるのが「ヴェーダ」と呼ばれる古代インドの聖なる書物たち。ヴェーダは、宇宙のしくみや人間の生き方を伝える“神さまの言葉”とも言われています。


ブラフマーと四つのヴェーダ

ヴェーダには大きく分けて4つの種類があります。名前は、リグ・ヴェーダ、サーマ・ヴェーダ、ヤジュル・ヴェーダ、アタルヴァ・ヴェーダ。それぞれ詩や儀式、音楽、呪文のような内容を扱っていて、インドの文化や信仰のもとになっている大事な文献です。

そして面白いのは、これらのヴェーダはすべてブラフマーの四つの口から生まれたと言われていること。つまり、ブラフマーが話したことがそのまま聖典になったというわけです。それぞれのヴェーダが宇宙や命のルールを教えてくれていると考えられています。


プラジャーパティと呼ばれるブラフマー

リグ・ヴェーダというヴェーダのひとつでは、ブラフマーは「プラジャーパティ」と呼ばれることもあります。この言葉は「生き物たちの主」という意味で、すべての命のもとになった存在だということを表しています。つまり、ブラフマーは宇宙と命を生み出した“親”のような存在だとされているんですね。


宇宙の卵とブラフマーの誕生

また、ある神話ではブラフマーは「ヒラニヤ・ガルバ(黄金の卵)」と呼ばれる宇宙の卵から生まれたと語られています。この卵は、まだ何も形がなかった宇宙に秩序と命をもたらすために生まれたもの。そこから生まれたブラフマーは、まさに宇宙に“意味”や“しくみ”を与える存在なんです。


ヴェーダが伝えるブラフマーの力

ヴェーダの教えを通してわかるのは、ブラフマーが自分自身を生み出し、そこからすべてを創り出したという、ものすごい存在だということ。彼の創造の力と知恵が、今の世界の根っこにある――そんなふうに語られているんです。


このように、ブラフマーはただの神さまではなく、「知恵」と「創造」の源。ヴェーダの物語を知ることで、彼のすごさがもっと身近に感じられるようになりますよ。

ブラフマーとインド神話の物語たち

ヴェーダの時代が終わったあとも、ブラフマーの存在感はどんどん増していきます。特に『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』といったヒンドゥー教の叙事詩や、「プラーナ文献」と呼ばれる神話集の中では、彼の役割や性格がよりはっきりと描かれるようになります。


ブラフマーと「プルシャ」という考え方

「プルシャ」というのは、ヴェーダの中に出てくる“最初の人間”のような存在で、すべての生命のもとになったとされる存在です。いくつかの物語では、このプルシャの特徴をブラフマーが受け継いでいて、宇宙や命を創り出す役目を果たす神さまとして語られています。
つまり、ブラフマーはただの神さまじゃなくて、「すべてのはじまり」を担うクリエイターなんですね。


時代とともに変わるブラフマーの姿

ヴェーダの時代が過ぎたあとも、ブラフマーの物語は進化していきます。叙事詩やプラーナ文献の中で、彼の神としての力や役割がどんどん具体的になり、宇宙のしくみや生命の誕生に関わる「創造主」として描かれることが増えていきます。

たとえば、ブラフマーがどうやって自分自身を生み出し、そこからどう宇宙を創ったのか――そんなダイナミックなエピソードが、さまざまな物語の中に描かれているんです。そうした話を通じて、ブラフマーは「神聖な創造のシンボル」として大切に語られてきました。


このように、時代とともにブラフマーの物語は深まり、彼の役割もより豊かに、面白く描かれるようになっていったんですね。

トリムルティのひとり、ブラフマーってどんな神?

ヒンドゥー教の神さまたちは、いわゆる「一人の神さまだけを信じる」一神教とはちょっと違って、いろんな神さまがそれぞれの役割を持っていて、それぞれが大切にされています。その中でも特に有名なのが、「トリムルティ」と呼ばれる3人の神さまのグループです。


トリムルティって?

トリムルティとは、宇宙の流れ――つまり「はじまり」「つづき」「おわり」を表す三つの神さまのこと。それぞれの役割はこんなふうになっています:

  • ブラフマー:宇宙や生命を“創る”神さま
  • ヴィシュヌ:世界を“守る・保つ”神さま
  • シヴァ:すべてを“終わらせて再生する”神さま

この3人がそろうことで、世界は生まれ、続き、そしてまた新しく生まれ変わっていく――そんな宇宙のサイクルが保たれていると考えられているんです。


ブラフマーの立ち位置はどう決まったの?

古いインドの聖典「ヴェーダ」の中では、ブラフマーはまだ今のように“トリムルティの一人”として決まっていたわけではありませんでした。文献によっては、彼のポジションに他の神さまがいたりすることもあったんです。

でも時代が進むにつれて、ブラフマーは「創造の神さま」としてのイメージがはっきりしていきました。そしてヴィシュヌ(保護)・シヴァ(破壊)とともに、宇宙のサイクルを支える3人の中心的な神さまとして、トリムルティができあがっていったんです。


ブラフマーは“始まり”をつかさどる神さまとして、宇宙のスタート地点に立つ存在。そんな彼の役割は、ヒンドゥー教の深い世界観のなかで、今もとても大切にされています。

宇宙と命を生み出した神さま、ブラフマー

ヒンドゥー教の中で、ブラフマーは「宇宙と生命をつくった神さま」として、とても重要な存在とされています。いろいろな神話やお話の中で、彼のすごい力や役割が語られているんです。


ブラフマーが宇宙をつくった話

ブラフマーが宇宙をどうやって創ったのか――それについてはいくつもの物語があります。中でも有名なのが、ブラフマーがまず自分自身を生み出して(これを「スヴァヤンブー=自ら生まれた者」と言います)、そのあと宇宙をつくったというお話です。

さらに「ヒラニヤ・ガルバ(黄金の卵)」という宇宙の卵から生まれたという神話もあります。この話は、彼がすべてのはじまりを生み出す“創造の神さま”であることを強調しています。


ブラフマーは命の生みの親でもある

宇宙だけでなく、生きものたちもブラフマーがつくったとされています。彼には四つの顔があって、それぞれが東西南北を向いています。そしてその口からは、古代インドの聖なる知識「ヴェーダ」が語られたと言われています。

これは、ブラフマーが物理的な世界だけでなく、知恵や文化、そして宗教的な教えもつくり出したということを表しているんですね。


ブラフマーの創造については、細かい内容や物語の違いはいろいろあります。でも、どの話でも共通しているのは――「すべてのものの始まりはブラフマーにある」という考え方です。

ブラフマーって日本でも知られてるの?

ヒンドゥー教の神さまたちは、長い年月をかけて日本にも伝わってきました。そしてその中には、日本独自の解釈や表現が加えられて、ちょっと違った姿で親しまれているものもあります。ブラフマーもその一人(というか一神)です。


日本でのブラフマーのイメージ

日本に伝わってきたブラフマーは、やっぱり「創造の神さま」としてのイメージが強く残っています。四つの顔を持つ姿は、すべてを見渡す力の象徴として、日本の美術や文化の中でも神秘的な存在として描かれてきました。

この「四つの顔」は、日本人にとってもどこか不思議で魅力的に感じられたようで、神さまの中でもちょっと特別な印象を与えているんです。


アニメやマンガにも登場するブラフマー

実は、ブラフマーは日本のアニメやマンガ、ファンタジー作品の中にも登場していたりします。もちろん、本来の宗教的な意味そのままではなく、物語の世界に合わせてアレンジされた形で出てくることが多いですが、「すべてを創り出す存在」としての特徴はよく活かされています。

特に、四つの顔を持つビジュアルはキャラクターの深みを出すのにぴったりで、神秘的な存在や賢者、あるいは世界の創造主として描かれることが多いです。

ブラフマーって、創造神としてどんなふうに人に影響を与えてきたの?

ブラフマーは、「創造の神さま」としての姿や物語を通して、昔からずっと文化や芸術にインスピレーションを与えてきました。その神秘的なイメージやストーリーは、人々の想像力をかき立てて、さまざまな作品の中で新たな形に生まれ変わってきたんです。


ブラフマーの物語は、今でも語り継がれている

ヒンドゥー教の中で、ブラフマーの神話はとてもユニークで、多面的なところが特徴です。彼の姿はとにかく印象的で、見る人の心に強く残ります。そして、彼が宇宙や知識を生み出したという話は、私たちが「創るってどういうこと?」と考えるときにヒントをくれるものでもあります。

特に、四つの顔から四つのヴェーダ(聖なる知識)を語ったという話は、ブラフマーが“知恵の源”でもあるという点で、ますます魅力的な存在として語られてきました。


今の時代にも息づくブラフマーの影響力

ブラフマーは、昔の神さまというだけでなく、今の時代のアートやエンタメの世界にも大きな影響を与えています。映画や小説、音楽、マンガ、そしてビデオゲームの中でも、彼のような「世界を生み出す存在」が登場することがあります。

特にファンタジー作品では、ブラフマーのような神さまのイメージが、物語の世界観を作るうえで大きなヒントになっているんです。クリエイターたちにとって、ブラフマーは「無から何かを生み出す力」を象徴する存在なんですね。


創造の神さまだからこそ、時代を超えて愛される

ブラフマーの物語が今も語られ続けているのは、彼が「生命のはじまり」や「宇宙のしくみ」について深く考えさせてくれるから。時代や場所が変わっても、人間にとって“創造”っていつもワクワクするテーマですよね。

そんな普遍的な魅力を持っているからこそ、ブラフマーは今も多くの人の心をつかみ、さまざまな形でよみがえり続けているんです。

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この記事を書いた人

ご挨拶:ファンタジーが大好きです。古代の歴史はスピリチュアル的な魅力に満ちあふれていると思いませんか?私たちと一緒に古代の遺跡・神話・文明の世界をスピリチュアルの観点から探求しましょう。
編集長:中央大学卒。在学中、国際政治史を学ぶ中で、人間の歴史においては同じような過ちが繰り返されていることに気づく。歴史を学ぶことは、現在の世界をよりよく理解し、未来に進むために不可欠であると考えるようになった。アニミズム等にも関心があり、スピリチュアルの観点から古代史を概観するメディアを制作。

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